2012年5月19日土曜日

Scratch Day @ Hakodate 2012

中京大学のイベントに便乗してミニWSを開催

今年もやってまいりました、Scratch Day。
私は毎年、中京大学の宮田義郎先生のところにうかがって参加していたのですが、ことしは今後のことも考えて、函館で実践してみました。 今回は、宮田先生の「World Museum」というプロジェクトに連動させて、その中のひとつのテーマ、「ランチボックスプロジェクト」にちなんだワークショップをやってみました。

Scratchとは?

Scratchは、MITメディアラボで開発された小学生にも使える教育用のプログラミング環境です。ブロックを組み立てるようにプログラムを作り上げていく、解りやすいインタフェースが特徴です。パソコンのカメラやスピーカー、「ピコボード」などの外部入出力デバイスを組み合わせて、新しい体験を表現することもできます。
コンセプトはremix。コミュニティサイトに作品をアップできるとともに、他の人の作品をダウンロードしてソースを見たり、それをもとに自分のアイデアを加えて新たな作品を作ることを推奨しています。

Scratch Dayとは?

「スクラッチ・ディ」は、ほかのスクラッチの使い手(Scratcher)と出会い、プロジェクトや経験を共有し、スクラッチについてもっと学ぶ、そんな人々の集まりを、世界的なネットワークで結びつけるイベントです。2009年以来、毎年5月に開催されています。

本日のメニュー:ランチボックスWS
「食べる」をテーマにScratchムービーを作ろう!

今日のミニワークショップでは、いくつか試したいことがありました。それを埋め込んで、プログラムを考えました。
・ドレスコードは「カラフル」
・会場設営から参加者みんなで
・無理に時間通りに進めず、
じっくり楽しむ
・観察(調査)→表現→共有
デザインプロセス
・つくってかたってふりかえる
ワークショププロセス

会場設営

ついに研究室前の「学びの3層構造」デビューです。

とはいえ、今回はドキュメンテーションチーム不在、事前の空間デザインなし、と完全に場当たり的展開。いつも通りといえばいつも通りですが、ちゃんと準備をしておけばよかった。
ただ、今回の引越で持ってきたスクリーンやプロジェクタなどの荷物、段ボールをすべて開封できたので、ヨシとしましょう。

アニメーションの基礎を理解する

基本原理と歴史的な背景にいて知っておこう、ということで、アニメーションの基礎となる表現についてまず解説しました。
・仮現運動・・・ファイ現象
・ソーマトロープ Thaumatrope
・フェナキストスコープ Phenakistoscope
・ゾートロープ Zoetrope

自作のゾートロープや市販のプラキシノスコープ(Praxinoscope)も紹介して、視覚トリックの世界を実感してもらいました。

「デジカメアニメ」に挑戦!

身近な道具を使った「ラピッド・プロトタイピング」その1。「デジカメアニメ」です。
仮現運動を利用して、写真を使ったパラパラアニメを制作します。
この技法はストーリーテリングやアクティングアウトなど、デザインプロジェクトにおけるプレゼンテーションに活用できます。
とりあえず、自分の体を使って、ストップモーションアニメ−ションの感覚をつかみます。
AKB48「ヘビーローテーション」の振り付けを使って表現練習。

その後の応用も考えて、みんなが同じアクションをとることにしました。

撮影にはMacの「Photo Booth」も利用しています。背景を白にして撮影することで、画像を切り抜く手間が省けます。
出来上がった画像をScratchにとりこんで、アニメーション作品にしてみます。

作品はScratchのギャラリーにアップしました。

ランチタイム

これが今日のメインイベントのひとつでもあります。

ただ楽しく食べるのではなく、「食べる」という経験を抽象化して、インタラクティブ・アニメーションで表現しようという試み。
持ってきたお弁当の特徴、自分の食べている経験、他の人の食べている様子をしっかり観察します。

google+を使って4カ所を中継

複数メンバーでのビデオ会議が可能というgoogle+の「ハングアウト」を使って各会場を中継しよう、というのも今回の試みのひとつでした。
シドニー、香港、中京大とはこだて未来大学の4カ所で、大きなひとつのテーマを共有しながら、他の場所の様子を横目で見ながらそれぞれの活動を進めていく、という体験はなかなかおもしろいものでしたよ。

今回は、「お試しでつないでみよう」というレベルで、会場間の絡みはあまり演出できませんでしたが、次の機会にはもう少し、積極的に使ってみたいなぁと思いました。

お散歩

ランチタイムの後は、気分転換と腹ごなしのため、屋外をちょっとお散歩。

校舎から外に出ると、春爛漫です。おや、老けた妖精さんが・・・。

絵コンテ
さて、本題に戻ります。
お散歩から帰ってからは、「食べる」ムービーの絵コンテ制作。お弁当の食べ方、減っていく様子、食べる人とのインタラクションなど、視点・テーマをそれぞれが決め、まずは絵コンテで構成を考えます。絵コンテというのもプロトタイピングの手法のひとつ。目に見えるように描くことで、この後の作業工程の全体像をイメージすることもできます。

でき上がった絵コンテを、他の人に説明してみます。

アニマティクス(コンテメーション)

絵コンテを1コマずつデジカメで撮影し、そのままデジカメのプレビュー機能で順に再生してみると、映像としての流れを確認することができます。必要なカットが揃っているか、流れに説得力はあるかなど、表現の意図が具現化されているか、この時点でも確認できます。そう、これもプロトタイピング手法です。

絵コンテの段階で方針が固まったら、最終的な絵コンテから、ふたたび1コマずつ撮影した画像をこんどはScratchに取り込んで、表現の確認をします。本番の表現を想定して、コマ数やタイミング、画面レイアウトなどをここで確認します。これがアニマティクス。絵コンテを下書きにすることで、完成作品への道のりを確認しやすくする効果もあります。
アニマティクス作品もScratchのギャラリーにアップしました。

「私のランチボックス」作品制作

準備に時間をかけましたが、本日のメインディッシュは実はここ。とはいえ、scratchの制作は最終的な表現作品に向けた、自分との戦い。隣同士で様子を見ながらも、自分の作品を仕上げていきます。

料理と同じで、ここまでの下ごしらえが充分にできていれば、ここからは作業のクオリティが勝負。
残り時間も少ないけど、楽しみながら、楽しい作品を目指そう。
で、やっぱりちょっと時間が足りなかったけど、できたところまでをみんなで共有。

未完成ながらここまでの成果作品もScratchのギャラリーにアップしました。

振り返り

本来なら、ここでドキュメントウォールやリフレクションムービーをつかって振り返りをするところですが、今回は少し時間を延長はしましたが、そのまま緩やかに終了。今日のふりかえりとして、facebookにそれぞれ「活動内容」「感想」「今後の課題」という視点でコメントを書き込んでもらって、後は片付けモードに。無理に決着をつけずに終わるのも、余韻が残っていいのかなぁ。
本当は、この時間の中でやり遂げて、解散とともに次のステップに進んでいくことができればと思っています。これは、次回に向けての私の課題。
お疲れさまでした。