動機
「拡張現実ピタゴラ装置」は、公立はこだて未来大学の1年次後期必修科目「情報表現基礎1」の課題テーマである。1年生全員が6つのクラスに分かれて、8週間という短時間で取り組む課題となっている。
授業情報→拡張現実ピタゴラ装置
私は2012年から3年間、教員の一人として関わった。
その後この授業の担当を外れたが、2016年度はピンチヒッターとしてひとつのクラスを担当することとなった。
以前から思っていた事だが、デザイン系の授業は「やってみてわかる」が基本なのだから、教員も学生と同じ課題をやってもいいよね、ということで・・・今年度は、私自身もやってみた。
オリエンテーション
課題の詳細は先出の授業サイトに譲るとして、この授業の特徴のひとつは6クラスをそれぞれ別の教員が担当することにある。私の担当するクラスではふたつ、クラス独自の制約をいつも設けている。
1.提供された材料だけでやりきる
自分で自由に材料を調達して表現して良い、というクラスもあるが、私としては「制約こそ創造の泉」ということで、徹底的にプラダン(プラスティックダンボール)と向き合ってもらうことにしている。しかし、学生は逃げる。プラダンと戦わず、カラーガムテープでの造形で切り抜けようとするのだ・・・残念。
2.具象表現の禁止
既存のキャラクターはもとより、お手軽な人や物、風景、出来事などをそのまま絵で表現するのは禁じ手としている。具象表現は描くのに時間が掛かるし、「うまい/へた」で評価されがちだ。したがって、我がクラスでは、表現物は立体も映像も、原則として抽象図形のみを利用する、という制約を設けている。あ・・・もちろん、これについても、堂々と打ち破って「お花」や「人形」などを堂々とつくってる学生は、いる。
抽象表現のヒントとして、いつも見せているのは、「アニマシー知覚」に関するこのムービーだ。
これはHeiderとSimmel(1944)の実験に使われた映像(実物かどうかはちょっと解らないけど)で、鑑賞者がこれらの幾何図形の動きから生物らしさを感じる、という結果を得た。この知見は様々なキャラクター・アニメや機械の動作、そして現代のインタフェース・デザインにも応用されている。
今回の課題でも、このアニマシー知覚を積極的に利用した表現を目指す。
プロトタイピング
もうひとつ、この授業で大切にしているのは、「やってみてわかる」というプロセスだ。「プロトタイピング」はことばの通り「試作」ということだが、デザインプロジェクトにおける試作とは、重要な評価の方法だ。理屈でわかっていても、実際にやってみるとうまくいかない、と言うのは世の常だ。(図面で考えて実物を作ってしまう、建築の世界には敬意を評してる)テレビの「ピタコラ・スイッチ」でも、とてつもない試行錯誤が行われている。ちなみにこちらのムービーは、撮影時の苦労を映像化したもの。
授業では、プロトタイピングの参考資料としてこのムービーも紹介している。
もはやワークショップの定番ともいえる「マシュマロ・チャレンジ」は、大学の学びと通じるところが多いと思う。
さて、いよいよ制作に入るよ。
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